5月3日の憲法記念日に行われる恒例の「憲法と平和を考えるつどい」も節目の60回目を迎えました。今回は鹿児島大学元教授坂東義雄氏を講師にお願いし、宮崎市中央公民館において宮崎民主法律家協会と共同で開催いたしました。演題は『自民党「新憲法草案」を斬る!―その特徴とねらい』で、参加者は80 名でした。まず、「新憲法草案」の前文に関しては全文の書換えをしており、日本国憲法の出発点となった「過去の戦争への反省と不戦の誓い、平和的生存権」を全面的に削除し、代わりに国を愛し、守ることを国民の責務とする等、人権よりも国益の優先を強調する記述が目立つこと。前文以外は一見、日本国憲法を部分的に修正した記述にしているが、ポイントを押さえて重点的に改悪しているとの指摘がありました。第1のポイントは憲法9条の第2項「戦力を保持しない。交戦権を認めない。」を完全削除し、自衛軍の保持を明文化し、その任務を専守防衛に限定せず、国際協調の美名のもと米国の世界戦略の一翼を担うことが可能になるようにしていることです。第2のポイントは、現憲法の「公共の福祉」をすべて「公益および公の秩序」に書換え、国民は公益および公の秩序に反しないように自由を享受するとし、これを国民の責務と位置付けていることです。このことは、憲法によって国民の権利を守るという立憲主義を否定するものです。第3のポイントは、改正の手続きに関し、国会による発議の要件を緩和し、今後の改正に風 穴をあけることをねらっていることです。このような改憲のうねりに対して、憲法を守る闘いが広がっていますが、平和憲法を守るために以下の課題の提起がありました。
憲法論議が高まっている中、2月11日の建国記念日に鹿児島県立短期大学名誉教授網屋喜行氏を講師に迎え、宮崎市民プラザ大会議室において「第59回憲法と平和を考えるつどい」を宮崎民主法律家協会と共同で開催いたしました。演題は『憲法9条−政府による否定と実現をめざす市民のとりくみ:自民党「新憲法草案」の危険な内容とねらい−建国記念の日に考える』で、参加者は70名でした。最初に憲法9条の第2項「戦力を保持しない。交戦権を認めない。」が日本独自の規定で世界的先見性をもつとの指摘がありました。自民党政府は、日米安保体制の下で一貫しての米国の海外侵略の手助けをして来ましたが、9条2項がそれに対するどれほど強力な歯止めであったか9条2項が果たして来た役割の大きさを強調されました。それゆえに自民党政府は、9条の空洞化をねらった政策を実行して来ましたが、限界があり、自民党は昨年11月28日に決定した新憲法草案では9条2項を削除したのですが、それをめぐって政府と国民が綱引きしているのが現在の状況だという説明がありました。このような状況の中で9条を守るためには若い世代に訴えることが重要であり、なぜ9条を守るかという問いには、戦争体験を踏まえ、自分の言葉で伝えてほしいと続けました。また、自衛隊違憲論者だけでなく、専守防衛論者等をも巻き込んだ広範な運動が必要だと訴えました。(河野通夫)
憲法論議が高まっている中、5月3日の憲法記念日に鹿児島県立短期大学名 誉教授網屋喜行氏を講師に迎え、宮崎市中央公民館において「第58回憲法と平 和を考えるつどい」を宮崎民主法律家協会と共同で開催いたしました。演題は 「多数派になるために−今、九条を考える−」で、参加者は120名を超え、近 年にない盛況で、この問題に対する関心の強さを痛感しました。最初に憲法9 条の第2項「戦力を保持しない。交戦権を認めない。」が非常に重要であると いう見解が述べられ、このような条項が設けられた歴史的背景について解説が ありました。すなわち、第1次世界大戦後、国際法による戦争の違法化が国際 的に進む中で戦前の日本は国際連盟規約や不戦条約に違反し、帝国憲法の下で 実に5年に1回の頻度で戦争をしており、このことに対する反省が根本にあると いうことでした。また、ご自身の戦争体験や新憲法制定後最初の文部省著作社 会科教科書「あたらしい憲法のはなし」を読んだときの感動についても触れら れました。最後にこれから憲法9条を守っていく運動を進める上での3つの課題 の提起がありました。
恒例になった第57回目の憲法と平和を考えるつどいを2005年2月11日,「建 国記念の日」にあわせて開催しました.今回は教育問題を取り上げ,早稲田大 学教授の西原博史氏に「学校が『愛国心』を教えるとき」と題して,憲法と教 育基本法,教育をめぐる問題について講演していただきました.約90人の参加 者は熱心に聞き入り,講演の後には多くの質問や意見が出されました.
西原教授は,まず,教育基本法は戦前の軍国主義教育の反省のうえにたって 制定されたものであると述べ,学校現場での日の丸・君が代の強制や選別教育 をすすめる現在の教育行政を批判しました.そのうえで,教育の諸問題を解決 するには,教育基本法を「改正」するのではなく,その理念を守り活かすこと こそが重要であることを強調しました.最後は,教育基本を守るためにともに 力を合わせて頑張りましょうと,参加者に呼びかけました.
この講演会の模様は,テレビ宮崎,宮崎放送で放映され,宮崎日日新聞,西 日本新聞,毎日新聞,読売新聞で報道されました.また宮崎日日新聞は,講演 要旨を2回にわたって大きく報道しました.
若手研究者の成長を支援する活動として,先輩研究者の経験を聞いてもらう 若手セミナーを毎年開催してきました.今回は9回目で,10月29日に宮崎大学 で開催しました.講師は宮崎大学農学部の大野和朗氏で題目は「基礎から応用 研究への失速,跳躍?」.参加者は34名で大半が学生という久しぶりの大盛況 でした.約1時間半にわたる講師の熱弁に,参加者はメモを取りながら熱心に 聞き入りました.
講演では,講師の大学入学から今日に至るまでの足跡が,その時々の挫折や 成長,個性豊かな人々との出会い等を交えて語られました.大学卒業後にアル バイトで勤めた沖縄農試ミバエ研究室で,第一線の昆虫生態学者の間で交わさ れた不妊化法に関する熱い議論に触れたこと.行動生態学の新展開に興奮しな がら実験に明け暮れた博士課程.専門家として赴任したバングラデシュ農業大 学院で触れた日本とは異なる研究環境.現場対応主義にとまどった県農試時代 に基礎研究と良好な研究環境の重要性を痛感したこと.小さな卵寄生蜂のなわ ばり行動の進化から,農家ハウスでの天敵を組み込んだ減農薬中心の総合的害 虫管理にまで展開させたこと.劇的な半生が参加者を惹き付けました.
参加者からは「将来を真剣に考える機会になった」「視野が広がった」「人 とのつながりを大事にしていきたい」「地域貢献への思いが伝わってきた」等 の感想が寄せられました.また次回の企画として「様々な研究者の経験を聞き たい」「大学の1,2年ですべきことについて聞きたい」「博士課程終了後の 就職問題を取り上げてもらいたい」等の要望がありました.
セミナー終了後は学生も交えて懇親会を開催し,講演の続きの話しなどで交 流を深めることができました.(木下統)
今回の「憲法と平和を考えるつどい」は、鹿児島大学法文学部教授木村朗氏を講 師に迎え、5月3日(月)10:00から12:00まで中央公民館大研修室で開催されまし た。今回も協賛団体として「宮崎県革新懇」と「宮崎県平和委員会」を迎え、参 加者は、約90名でした。演題は「イラク戦争と日本の有事体制を考 初に9・11事件以降、現在に至るまでテロとの戦いが声高に叫ばれているが、テロ という言葉を使うこと自体が不適切であるとの指摘があり、イラク戦争の本質は 新たな帝国秩序に対するイラク国民の抵抗運動であるという見解が示されまし た。その上でイラクにおける最近の日本人人質事件において政府が無策で、解放 に至ったのは、家族の訴えがイラク国民を動かしたこと、日米以外のメディアの 動きあるいは聖職者協会が大きな役割を果たしたとの指摘がありました。9・11事 件を切り口とし、高い視野からアメリカの行動を分析し、根本にあるのはキリス ト教原理主義とユダヤ人資本であり、大統領が誰であろうとアメリカの方針が大 きく変わることが期待できない状況にあり、国連を過大評価することはできない が、アメリカの暴走を止める鍵は国連にあり、アメリカ中心の覇権主義と異な る、「国連中心の新しい世界秩序」が確立される可能性があることを強調されま した。このような状況の中で小泉政権の異常な対米追従路線とそれと一体である 有事法制の危険性が指摘されました。最後に組織に頼るのではなく、一人一人が 声を上げ、地道な反対運動を続けることの重要性を主張されました。講演の後、 「イラク救済基金」の大平直也氏からイラクの現状および人質事件が起きて以降の 状況について報告があり、質疑応答の後、つどいは終了しました。
今回の「憲法と平和を考えるつどい」は、鹿児島大学法文学部 教授小栗実氏を講師に迎え、2月11日(火)10:00から12:00まで 中央 公民館大研修室で開催されました。今回も協賛団体として「宮崎 県革 新懇」と「宮崎県平和委員会」を迎え、参加者は、約90名でした。 演題 は「危機にたつ平和主義−イラク自衛隊派兵、有事法制、憲法改悪を許さないために−」で、アメリカの軍事行動を支援する小泉政権の危険性の指摘に始まり、イラク自衛隊派兵は憲法違反だとの批判と、日本は、イラクの平和的再建に貢献すべきであるという主張がなされました。さらに、「有事法制」や「国民保護法制」の本質について分かり易い説明がありました。最後に最近急速に改憲の動きが強まっているとの懸念が示され、平和憲法を守ることの重要性が強調されました。講演の後、「イラク派兵に反対する女性の会」および「有事法制化反対宮崎県 連絡会」から報告があり、つどいは終了しました。幹事の1人から科学 者会議宮崎支部としてなにか行動すべきであるという要望があったので、ピースウォークを企画しました。有志が「イラク派兵に反対する女性の会」とともに橘通りを経て、宮崎駅までピースウォークを行い、市民にイラク派兵反対を訴えました。
第54回憲法と平和を考えるつどいは、日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(AALA)理事長秋庭稔男氏を講師に迎え、「イラク問題を通して世界の平和と日本の憲法を考える―第13回非同盟諸国首脳会議に参加して」をテーマとし、5月3日10:00から、宮崎市総合体育館大会議室で行われました。最初に、アメリカのイラクへの軍事侵略のねらいが石油利権にあることを明らかにし、一国覇権主義の危険性が強調されました。つぎにソ連の消滅後、ヨーロッパ諸国や非同盟諸国の国際社会における役割が大きくなっており、それが国連でのアメリカの敗北という結果を導いたことが指摘されました。さらに、 2月にクアラルンプールで行われた第13回非同盟諸国首脳会議のとき、100万人規模の反戦集会が行われ、マハティール首相以下全閣僚が夫人同伴で参加し、イラク問題に対し、日本とは対照的なマレーシアの対応が報告されました。最後に、日本国憲法は国連憲章の精神をとりこんでいる点があるという指摘がありました。このように従来とは、少し違う切り口から憲法問題について講演をいただきました。
この集会の模様は,朝日新聞,毎日新聞,西日本新聞,宮崎日日新聞,読売新聞,NHK,テレビ宮崎で報道されました。
今回の「憲法と平和を考えるつどい」は、詩人で日本ペンクラブ会員である南邦和氏を講師に迎え、2月11日(火)10:00から12:00まで中央公民館大研修室で開催されました。今回の参加者は、約70名でした。演題は「“自由”と“言論”のゆくえ!−最近の状況から見えてくるもの」で、長年にわたる、ご自身の韓国との交流の経験に基づく興味深い内容の話でした。最初に、紀元節は皇国史観に基づくものであり、皇国史観の根拠となっている日本書紀・古事記は歴史というより神話で、朝鮮には檀君神話があるように各民族はそれぞれ創世神話をもっており、それはそれなりに価値があるが、邪馬台国の存在を始め、いろんな点で歴史的事実と矛盾しているという指摘がありました。つぎに日本ペンクラブの活動について紹介がありました。本来、日本ペンクラブは国際ペンクラブの日本支部であり、日本では一般の人にはそれほどなじみはないが、外国ではペンクラブに対する評価が高いとのことでした。過去の歴史を引用しながら、言論の自由が損なわれることの恐ろしさが説明され、メディア規制3法案の危険性について理解を深めることができました。会の終了後、有志で南邦和氏を囲み、昼食をとりながら楽しいひとときを過ごすことができました。
第7回若手セミナーを7月22日(月)17時から,宮崎大学において開催しました.これはもともと15日に開催する予定でしたが,台風7号が本県に接近するということで,急遽この日に延期して開催したものです.それにもかかわらず,大学院生や教員など27名の参加がありました.このセミナーは数年前から毎年開催してきているもので,その趣旨は,大学院生など若手研究者の成長を支援するために,先輩研究者の様々な経験を聞く機会をつくろうというものです.
今回の講師は,放送大学宮崎学習センター所長の金子弘二氏で,演題は「地球科学の(革命的な?)進歩と私」.金子氏は,地球科学が20世紀後半に華やかに進歩したそのあらましと,その渦中を学生・教員という立場で過ごした氏の経験とを織り交ぜながら話されました.その経験談は,大学・大学院の選択や,それぞれの所での先生・先輩との人間関係で如何に失敗を重ねたか,如何にチャンスを逃してきたかという,たいへんリアルな報告でした.講演の最後には若手研究者へのメッセージとして,「新しい学説が出てきたら,その表面的な部分を見るだけで批判するのではなく,その裏にある基礎的な事柄を十分に調べたうえで評価することが重要である」ことや,「進路を選択するときは,時流に流されず,自分の感性を大切にすることが重要である」ことが強調されました.
質疑の中で参加者からは「子供の理科離れをどう考えるか」「もしも違う分野を専攻するとしたらどのような分野だったか」といった質問や「失敗談として話されたが,たいへん素晴らしい研究生活だったと思える」などの感想が出されました.終了後のアンケートでは,「まわりに流されずに自分の感性を信じて道を選んでいくのは,勇気がいることだ」「研究は地道なものであると感じた」などの感想が寄せられました. 【木下統】
今回の「憲法と平和を考えるつどい」は、日本平和委員会全国理事の山下千秋氏を講師に迎え、5月3日(月)10:00から12:00まで中央公民館大研修室で開催されました。今回も協賛団体として「政治の革新を目指す宮崎県懇談会」と「宮崎県平和委員会」が参加しました。参加者は、前回を上回り、80名を数えました。演題は「有事立法の先取り−戦時体制が常態化する在日米軍基地−」で、昨年9月11日の同時多発テロ発生直後の佐世保基地が臨戦態勢に入った状況についての生々しい報告に始まり、その後の政府の動きを分析し、有事法制は、自衛隊創設以来、アメリカと自民党政府が目指してきたものであることを指摘し、具体的な例を挙げながらわかりやすく説明していただきました。今回で、有事法制に関する講演は連続3回目になりますが、有事法制の実態について理解を深めることができました。いつものことですが、全体的に余り質問の時間がとれず、その点は残念でした。会の終了後、有志で山下千秋氏を囲み、昼食をとりながら楽しいひとときを過ごすことができました。
第9回市民講座が4月27日,大型ショッピングセンターの進出問題をテーマとして開催されました.宮崎市へのイオングループによる西日本最大級のショッピングセンター(SC)建設の是非を巡る市長の判断が,3月12日の市議会にて「条件付賛成」として表明されましたが,日本科学者会議宮崎支部は,この大型SCの建設問題とまちづくりについて,専門的見地からの議論を提起し,市民レベルでの議論を一層深めることが重要であると考え,第2弾として開催したものです.講師の山川充夫先生は,?大型店の進出・撤退戦略:(イオン等の大手流通資本の動向とショッピングセンターの立地)などを詳しく分析され,人口規模20〜30万人台の都市がその中心市街地の商業拠点が維持されるか否かの分岐にあるとの見解を示されました.また,?全国の中心市街地活性化計画の動向と問題点,?TMO(Town Management Organization)の可能性と限界性についても述べられました.
この講演を通して,「まちづくり」は,大手資本におまかせするようなものではなく,そこに住む市民が主体的に関わらなければうまくいかないことが明らかにされ,また,その際には,科学的な視点で,その社会を分析し,計画していくことの重要性をあらためて浮き彫りにすることができました.参加者は46名で,商店主,百貨店経営者,消費者,学生,大学教員など幅広く参加してもらえました.参加者からは,「地域経済の歴史,街づくりに貢献してきた商店街を切り捨てるような大型店の進出には反対」「商店街の調査に行った学生が,行く前にはいらないと考えていた商店街を,調査後にはやはり大事であると認識しなおしたという話には驚いた」「新しいものを進出させるより,飽きてしまった古い物を市民にもう一度振り返らせる努力が一番必要」「中心市街地の活性化は単に商業を発展させるだけではなく,住民の住みやすいところをめざさなければならない」などの声が寄せられました.
今回の「憲法と平和を考えるつどい」は、鹿児島大学法文学部の小栗實氏を講師に迎え、2月11日 (月)13:00から15:00まで中央公民館大研修室で開催されました。今回は協賛団体として「政治の革新を目指す宮崎県懇談会」と「宮崎県平和委員会」が参加しました。その関係もあってか参加者は64名を数えました。演題は「今、平和について考える!−危機に立つ憲法9条と私達の人権−」で、建国記念の日の由来に始まり、最近の政府の動きに対し、3つのポイント国家主義の復活新自由主義の台頭平和主義の否定に焦点を絞り、具体的な例を挙げながらわかりやすく説明していただきました。特に個人的には、有事法制については余り知識がなかったので、印象的でした。若い聴講者から質問も出ましたが、全体的に余り質問の時間がとれず、その点は残念でした。会の終了後、有志で小栗実氏を囲み、コーヒーを飲みながら楽しいひとときを過ごすことができました。 【河野通夫】
第8回市民講座「大型店進出と”まちづくり”を考える」を11月30日,宮崎市中央公民館で開催しました。講師は,奈良女子大学生活環境学部助教授の中山徹氏。中山氏は,まちづくりを考えるうえでの大切ないくつかの視点を指摘し,最後に,中心市街地の活性化は,中心市街地の人だけで考えていてはだめで,それをとりまく市民全体,地域全体で議論しなければならないことを強調しました。大型ショッピングセンターのイオンモールの進出が話題になっているなかでのこの企画。参加者は約60名で,公務員,自営業,農業,民間企業,学生と広く様々な立場の方が参加し,活発に議論がおこなわれました。参加者アンケートでは「タイムリーなテーマで,様々な視点からまちづくりを考えさせられた」などの反響がありました。
日本科学者会議宮崎支部と宮崎民主法律家協会の共催による「憲法と平和を考えるつどい」は今回、著名な憲法学者である、静岡大学の小沢隆一氏に講師をお願いし、11月3日、宮崎中央公民館において行われました。あいにくの雨でしたが、36名の参加者がありました。演題は「21世紀を日本国憲法で拓こう」で、副題は「テロも戦争もない世界を目指して」でしたが、準備している最中、同時多発テロが発生し、非常にホットな話題を提供していただけることになりました。
日本国憲法の生い立ちから始まり、この憲法はけっしてアメリカに押しつけられたものではなくて、戦前の政府の弾圧を受けた当事者のアイデアが底流にあることが強調されました。 また、今回の米軍の報復攻撃に関し、「報復」は「自衛」ではなく、明確な国際法違反であること、国連安保理はこれを認めていないこと等について説明があり、テロ対策法の危険性が指摘されました。
また、同時に国会を通った自衛隊法「改正」に関して、有事立法の前倒しという「狙い」があり、ほとんど何の審議もせずに通ってしまったというのが現実だという報告がありました。
全体に問題点をわかりやすく説明していただき、質問も沢山出ましたが、時間の関係もあり、打切らざるを得ない状況でした。
懇談会「国立大学の法人化を考える―独立行政法人化された国立研究機関の現状から」が8月9日,日本科学者会議宮崎支部の主催で9名の参加者により開かれました。
4月から独法化された農林水産省関連の試験研究機関に所属している講師の鈴木憲太郎氏からは,(1)省として独法化に正式に反対の立場をとった農水省関連の試験研究機関と,反対の立場をとらずにむしろ推進する立場をとった経済産業省関連の産業技術総合研究所とでは,後者のほうが試験研究に支障をきたす状況が多くおこっていること,(2)民間から外部資金をとると,その分だけ次年度の運営費交付金が削減されることや,毎年,定率で運営費交付金が削減されるしくみになっていること,(3)企業会計制度を導入したことによって経理処理がたいへん複雑になり,事務量が膨大になること,(4)民間法人と同じように消防法,高圧ガス取締法や薬品管理などについて自治体への届け出,許可申請をせねばならず,自治体から指導される立場になり,これらに対応するための事務が増すこと,(5)産業技術総合研究所ではスペース課金を導入したので,購入したばかりではあってもスペースをとる大型の実験機材がかなり廃棄されたことなどが報告されました。また国立大学の法人化問題については,(1)大学は地域住民の高等教育を受ける権利を守るという立場をとるべきであること,(2) 法人化されると地域自治体や地域住民が不利益をこうむることになるので,自治体や住民との連帯を強めるべきであることなどが提言されました。
参加者からは,法人評価のしくみ,人事評価のしくみ,研究費管理のしくみなどが質問されました。懇談会をとおして,国立の試験研究機関にとっては独法化によって良くなった点は今のところほとんどないことが明らかになりました。
第5回「若手セミナー」が6月29日,大学院生など約20名の参加者で開催されました。宮崎大学農学部の河内進策氏が「きのこに魅せられて」と題して講演し,きのこ研究をはじめたきっかけ,地域の関係者との「シイタケ談話会」を通した交流,菌類の特徴,食用きのこの生産とその社会的な位置づけ,生態系における菌の役割,食用きのこの効用などがきれいな写真を使いながら説明されました。会場からは「シイタケにも品種があるのか」「毒きのこをみきわめられるか」など多くの質問がありましたが,それぞれ講師がていねいに答えました。アンケートには「きのこ生産の現状については,大まかなことがわかりました」「きのこの有用性は聞く度に感心する」などの感想がよせられました。また,主催した日本科学者会議に興味をもってくれた院生もいました。
この集いは,日本科学者会議宮崎支部・宮崎民主法律家協会の協同主催により,過去約20年間,年2〜3回のペースで,一般市民を対象にさまざまなテーマで開催されており,49回目を迎えることとなった.今回は,今年6月司法制度改革審議会の最終答申が予定されている「司法制度改革問題」を取り上げ,前日本弁護士連合会副会長津田聰夫氏に「司法制度改革と国民主権」というテーマで講演していただいた.講演では,戦前・戦後の法曹身分・司法制度の違い,三権のひとつとして完全に機能していない現司法制度の問題点,司法制度改革をめぐる各界の立場などが詳しく紹介された.参加者からは「法曹関係者の増員は結構だが,国家公務員の25%削減がある中で本当に実現可能なのか」,「規制緩和と絡めた改革には危い面がある.国民主権の立場を貫くことが重要」,「生活権訴訟での門前払いは少なくなるのか」,「国民に開かれた司法制度とするには訴訟費用の公的負担が必要」などの意見が寄せられた.集いのようすは,新聞(毎日・朝日・宮崎日日),テレビ(UMK・MRT)で報道された.